院長挨拶
ごあいさつ
私が幼いころ、やさしく背中をさすってくれた、祖父の掌の温かさ・・・。
この仕事に携わる原点となったのは、あの心地よさの記憶でした。
いわゆる治療院には以前からなじみがあり、中学・高校と陸上競技の選手として、マッサージや整体、鍼灸院のお世話になりました。
特に高校時代は、週に2~3日、練習が終わると治療院に通う日々を送っていました。
私はそこで待合室や施術室の掃除をしたり、院で使用するタオルの洗濯など雑用のお手伝いをしながら、その日のすべての患者さんの治療が終わった後、先生のご厚意で治療を施していただいた思い出があります。
前職では地方自治体の介護予防事業の企画立案と、介護予防・高齢者運動教室の指導に携わり、全国各地で延べ43,000人の高齢者の方々との出会いがありました。
この貴重な経験が、現在の道へシフトするきっかけです。
今日では運動処方による介護予防施策が積極的に行われています。
しかし、私たちが運動習慣化による介護予防事業に取り組みはじめた1990年代は「高齢者の運動は危険で高リスク・・」、「運動効果や費用対効果への疑問・・・」など否定的、消極的な意見が大半を占めていました。
当時、私は後期高齢者を中心に「体力に自信のない」「運動が苦手」「他の教室について行けない」方々を対象に活動していました。
それが評判を聞きつけ、次第に杖をついた方やシルバーカーを利用する方、車椅子、脳梗塞後遺症の方などの、いわゆるリハビリ目的の参加者が増えるようになりました。
中には教室の会場まで、車で家族の方が送迎して来られる方もいます。
実際に効果も上がり沢山の参加者からお喜びいただき、やりがいも感じていましたが、個々に体力の異なる参加者数十名をまとめたグループ指導に限界を感じることも多くなりました。
元気溌剌の方もいますが、現場では体力的、身体的な問題に加え精神的にも悩みやストレスを抱えた高齢者に出会います。
しかし不特定多数を対象に行政サービスとして実施している体制では、一人ひとり個別に時間をかけて指導(支援)することは難しく、満足な介入はできません。
また様々なケースに運動処方だけで対応することにも限界があります。
こちらが気になっていた方の姿が、少しずつ教室からみられなくなる・・・
(寝たきりの一歩手前ぎりぎりの瀬戸際にいる、客観的に見て最も運動によるリハビリを必要とする方々に対して、サポートが不足している現実に直面しました。)
そこに聞こえてきた2006年の診療報酬改定によるリハビリ治療の日数制限。
何か自分にできることはないのか、その答えのひとつが訪問リハビリマッサージでした。
リハビリは単なる機能回復に止まらない、社会復帰を含めた人間の尊厳の回復です。
患者様やご家族の方への“心配り”を大切にし、「安らぎを与えられるこころの処方箋」が出せるような治療家を目指して、日々精進を重ねていく所存です。
訪問リハビリマッサージを通じてご縁をいただいた方々の生活に「笑顔」が生まれるお手伝いができれば、これに勝るよろこびはございません。
リバティ治療院 大北章史